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※長文になりますが、最後まで読んで頂けたらうれしいです。
(特にお菓子作りや化学に興味のある方に読んで頂けたらうれしいです)
 
 湯けむり洋菓子店は、大分県別府市にて2019年11月11日にオープンした焼き菓子を中心としたお菓子屋さんです。
 お菓子作りが大好きな店主は、京都大学ナノテクノロジーハブ拠点で化学分野の研究開発および分析をしていた元技術職員です。そんな店主のモットーは「お菓子作りは化学である」です。では、なぜ店主がそう考えるのかをご説明致します。
 例えば、お菓子の生地を膨らませたい場合、皆さんはどのような方法を思い浮かべますでしょうか。お菓子の生地の膨らませ方は化学の側面から見ると、以下の4つの方法に分類することができます。
(化学の側面から見た4つの生地の膨らませ方)
①気泡の熱膨張を利用する方法
 卵白は泡立てて熱を加えると卵白の気泡が膨張します。この現象により、シフォンケーキなどの生地を膨らませます。
②水分の気化
 生地に含まれる水分を気化(水蒸気)させることにより水分の体積が一気に増大します。その影響により、同時に生地が膨らみます。この現象により、シュークリームなどの生地を膨らませます。
③膨張剤の化学反応
 膨張剤であるベーキングパウダーは、熱や化学反応で分解する際に炭酸ガスを発生させ生地を膨らませます。この現象により、ホットケーキなどの生地を膨らませます。
④微生物によるガスの発生
 微生物である酵母が発酵することによって生じる炭酸ガスにより生地は膨らみます。この現象により、天然酵母のパンなどの生地を膨らませます。
【参考文献】 卵白が泡立つのはどうして?メレンゲがもっちりする理由/キッチンは実験室(33)   
https://athleterecipe.com/column/20/articles/201912180000801
 
 いかがでしょうか。単にお菓子の生地を膨らませるといっても、作るお菓子によって様々な化学現象が利用されていて、面白いと思いませんか?
 また、お菓子作りと化学実験は驚くほど類似点が多いのです。お菓子は、レシピを見て、ミキサーやオーブンなどの調理機器を使って、食材であるバターや小麦粉などを加工して作ります。そして、レシピどおりに作れば、何回でも同じ形と同じ味のお菓子になります。一方、化学実験は、実験ノートを見て、例えば高温高湿槽やUV露光装置などの実験装置を使って、材料であるエポキシ樹脂や硬化剤などを加工(硬化)して試作品(サンプル)を製作します。そして、実験ノートのとおりに製作すれば何度でも同じサンプルができることが求められます。いわゆる「再現性」が重要となります。
 つまり、「お菓子作りのレシピは化学実験の実験ノート」であり、「お菓子作りの調理機器は化学実験の実験装置」であり、「お菓子作りの食材は化学実験の材料」であると言い換えることができると思います。また、お菓子作りも化学実験も何度でも同じものができる(同じ結果になる)再現性が非常に重要となります。
 上記の理由から店主は「お菓子作りは化学である」と考えております。
 そんな店主が作るお菓子をお試いただけますと幸いです。